STUDIO NOTE

【スタッフレポート】「恥ずかしい料理 制作秘話」スライドトーク@誠光社

はじめまして、新スタッフの岡本和子(おかもとわこ)です。言葉と色々を担当させていただきます。1996年生まれの蟹座、好きな時間はおやつの時間です。みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

誠光社から刊行され、好評発売中の『恥ずかしい料理』(梶谷いこ著・平野愛写真)。もうお手に取っていただいたでしょうか? 現在誠光社にて、平野愛の刊行記念フィルム写真展を開催中です。

今日わたしからは、去年の暮れに誠光社で開催された『恥ずかしい料理』制作秘話 梶谷いこ × 平野愛 スライドトーク』の現場レポートをお届けします。
恥ずかしい料理ってなんだろう? この本を読む前、いちばん先にどんな料理を思い浮かべたでしょうか。ちなみにわたしの頭に浮かんだのは祖母の卵焼きでした。いつもフライパンで巻くから、オムレツみたいな形になるんですよね。“みんな本当は何食べてるの?”


2020年12月27日(日)、しんと冷える京都の夜に、誠光社にて開催された刊行記念スライドトーク。会場では席数を制限しつつ、ご来場が難しい方にもオンラインで同時配信して視聴いただきました。

開場前の打ち合わせ風景。

トーク進行役に誠光社店主・堀部篤史さん。登壇者には、著者である京都在住の文筆家・梶谷いこさん、そして写真撮影を担当した平野愛。この本のために生まれたチームです。誠光社のやわらかい照明と本に囲まれながら、トークはゆったりとした雰囲気で行われました。この取材で平野が撮影したフィルム写真の数はなんと600枚(!)。その中から選んだ150枚の未掲載写真をスライドで映しながら、アルバムをめくるように思い出を語りあいました。

“まだマスクをつけてなかったんよね、この頃は”と一年前を振り返ります。そして緊急事態宣言が発令され、取材を全てストップした春先。不安を抱えつつも少しずつ手応えを感じた夏。秋には梶谷いこさん宅で、“見よう見まね”、“家にあるものでなんとかした”料理撮影。いよいよ表紙のデザインを決め印刷所の修美社に原稿を持ち込み、本ができあがった冬。

肉声で語られる記憶と匂いまで切り取った写真に身を委ねると、手のひらにある本が書かれていること以上の響きを持って語りかけてくるから不思議でした。まるで自分も寿司屋の“おとうはん”に夢で会ったかのような。(これだからわたしはスライドトークがとても好きです。以下に、トーク中に出てきた印象深いメイキング写真を掲載します。)

写真:平野愛

「恥ずかしい料理」というタイトルに込められたのはたくさんの愛おしさと少しのいたずら心。三人が口を揃えて言うのは、“制作者も取材対象のみなさんも「恥ずかしい」なんて露ほども思っていない”ということ。SNSを華々しく飾ることのない家庭料理が本来持つ奥ゆかしさと誇り、暮らしぶりまでまるごと詰まったこの一冊。それを味わうのは読者自身なのだと、オレンジ色の穏やかな照明の下でふと気づきました。

誠光社での写真展は2021年1月15日(金)まで開催中です。ご芳名帳にはあなたの「恥ずかしい料理」も教えてください。お会いできるのを楽しみにしています。

 
恥ずかしい料理 刊行記念写真展
Photography by Ai Hirano

会期:2020年12月16日(水)~2021年1月15日(金)
時間:10:00~20:00
場所:誠光社
京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
https://www.seikosha-books.com
※2021年2月以降、無印良品京都山科 MUJI BOOKS ほか、名古屋、広島、神戸にて展示予定。詳しくはTwitter・ホームページにて随時お知らせします。

文・記録写真:岡本和子